夢の舞台 東京五輪
2014年はうま年。ゆっくり草を食んだ後、リズム良く駆け出したいものです。
先日、江東区長の山ア孝明さんと対談をしました。江東区には辰巳の水泳場や有明のテニスコートなど多くのスポーツ施設や東京ビッグサイトがあり、2020年の東京五輪では28競技中15競技が区内で開催される予定。招致活動の時から区民全体で盛り上げようという機運が高い地域なのです。
「昭和39年の東京五輪の時、大学生だった私は選手村でボーイのアルバイトをしていたんですよ」という山アさん。大変気さくな方でパワフル、70代には全然見えません。当時、試合は殆ど見ることが出来ず、でも食堂で各国の選手と触れ合い、帰国の際に見送りながら自然と涙が溢れたそうです。「あの時、色んな国の人と仲良くしたいと思ったね。平和が一番だ」と。ですから2020年の東京五輪では、世界の人々に触れて子ども達に何かを感じとってもらいたいという思いが人一倍強いようです。
江東区には区営のセーリング部があり、選手の育成に力を入れています。そのチームがスポーツ祭東京2013で3位になりました。「今度はオリンピアンが出たら嬉しいね」と山アさんは嬉しそう。また、木場という地名に残るように、江戸時代から木材の集積場があった区の歴史から、木造の競技場を作るという夢もあるそうです。
思えば江東区は、前回の東京五輪の時期に出たゴミを一手に引き受け、夢の島として埋め立てました。その夢の島が公園となり、体育館などが出来、そこで2020年に五輪が行われようとしています。半世紀前に嫌なことを引き受けた区が、今度は夢の舞台として輝くことを嬉しく思います。
(共同通信/2013年12月20日配信)
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