早春に芽吹く若い選手
山口市の維新百年記念公園陸上競技場のスタートラインには、早春を彩るような次世代の選手達が顔をそろえました。2月16日、全日本実業団女子ハーフマラソン大会。優勝候補の田中智美さん(第一生命)は日本陸上競技連盟のニュージーランド強化合宿から戻ったばかり。「疲れているし、2週間後の名古屋ウィメンズマラソン(初マラソン)に照準を合わせているので、あまり走れないと思いますよ」と山下佐知子監督は話しました。
気温6.5度、微風のレース日和のなかスタートし、先頭に立ったのは九電工の加藤岬さんです。速いペースで主導権を握った彼女は、2月上旬まで宮崎の延岡市で行われていた日本実業団連合の合宿でも積極的に集団を引っ張っていたのです。
加藤さんに付く集団が大きくなり、5キロ過ぎに田中さんが先頭に立つと更にペースアップ。その間の5キロは16分15秒という速さで、集団から一人、二人と脱落が続きます。田中さんに唯一、17キロまで喰らいついたのは竹中理沙さん(資生堂・24歳)でした。立命館大学時代から活躍し、徐々に距離を伸ばして、この日は初ハーフで2位という好成績。
それにしても17キロから独走になった田中さん(優勝、1時間9分24秒)の何と強かったことでしょう。一人旅でもグイグイ自分を追い込みペースを上げ、移動中継車から私は興奮しました。田中さんは元同僚の尾崎好美さんを尊敬しています。ロンドン五輪へ向かう尾崎さんと共に練習していた頃、「先輩は呼吸が荒くなって、一番苦しいところからまた頑張れる。すごい!」と言っていたのを思い出します。でもこの日の田中さんが正にそうでした。それぞれに若い力が芽吹いています。
(共同通信/2014年2月17日配信)
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