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おしゃべり散歩道2014

次郎長親分が完走

 今年50歳になったことを記念して、8年ぶりにフルマラソンに挑戦。3月2日、第一回静岡マラソンを走りました。本当は富士山を眺めながら走りたかったのですが、あいにくの雨模様。でも静岡空港との直行便がある台湾から参加した方は「イベントの第1回目が雨になるのは縁起がいいんですよ」と。私も心にお日様と富士山を描きながら走ったのです。
 コースは駿府城をスタートし、安倍川沿いへ。駿河湾を右手に見ながら清水港を目指します。前日のトークショーで「私は次郎長になって、小政、大政、森の石松と走ります」と宣言。最初は夫が小政でしたが、16キロであえなく脱落。ハーフを2時10分で通過した後、海沿いの向かい風をうけ、体格のいい男性の後ろに。風よけの大政になってもらいました。久能山の石垣いちごの給食が美味しかったです。
 30キロを過ぎてから急に脚のバネがなくなり、どんどん抜かれる苦しさの中で、マラソンは人生に似ているなと感じました。序盤は沿道の声援に応え手を振ったり、横を走るランナーから握手を求められると「がんばりましょうね」と笑顔で握手。しかし、苦しくなってからは沿道の人に気づかれまいと帽子を深くかぶって、握手を求められるのがうっとおしいのです。自分に余裕がないと人に優しく出来なくなるのですね。そんな時、摺り足気味な走りで私を抜いていく女性がいました。「増田さん、がんばって。私71歳ですよ」と話しかけて下さったその女性は、私と同世代と思えるほどの若々しさ。小気味いいピッチに追随するように走りました。女石松に導かれ、4時間37分台で清水港にゴール。色んな人に支えられて次郎長親分は完走しました。

(共同通信/2014年3月3日配信)

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