競技力向上へ選手一丸
桜からタスキを受け、ハナミズキやつつじが街道を明るくした4月17日、ソチパラリンピックを中継したスカパー(衛星放送)の打ち上げが開かれました。パラリンピック競技をダイジェクトやニュースでなく、初めてスポーツ中継として24時間体制で200時間以上放送したのです。そのお礼の気持ちを込めてアルペンスキーの狩野亮さんと三澤拓さん、クロスカントリースキーの新田佳浩さん、阿部友里香さんの4人が参加。この春、大学に入学したばかりの阿部さんは皆のマドンナ的存在で質問攻めにあっていました。
ソチで日本は6つのメダルを獲得し、その内の5つがアルペン種目。2つの金メダルを獲得した狩野さんは、帰国後も忙しく、約1か月経った今でも自宅のある大阪には帰っていないそうです。「奥さんサービスしなくて大丈夫ですか?」と独身の三澤さんがからかうと、周りは笑いに包まれました。
狩野さんは選手村で相部屋だった年下の鈴木猛史さん(回転金メダル)について「部屋でフゥー、フゥーとため息ばかりつくんですよ。猛史、いつも通りでいいんだよと言いました」と。そして閉会式の翌日はアルペンでメダルを獲った森井大輝さん、狩野さん、鈴木さんの三人で選手村のトレーニングルームで汗を流したそうです。「今日が(4年後の)ピョンチャンへのスタートだ」と意を決したのです。
その話を優しい笑顔で聞いていた新田さん(33歳、バンクーバーで2つの金メダル)が「チームワークの良さを日本チーム全体に広げるのが君の役割だよ」と狩野さんの肩をポンと叩きました。選手達に会う度に、皆で一丸となって日本の競技力を向上させていこうとする姿に胸を打たれます。
(共同通信/2014年4月21日配信)
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