野口みずきさん支える音楽
神社の大きなケヤキが今年も若葉を茂らせた4月下旬、友人宅の食事会で野口みずきさんとジョン・カビラさんご夫妻とご一緒しました。4月にロンドンマラソンを走る予定だった野口さんは右太ももの疲労骨折により出場を断念。そのロンドンで3位までをアフリカ勢が2時20分台で独占したことに対して「また日本は差を付けられました」と深刻な表情。闘争心を覗かせたのです。
カビラさんはラジオのパーソナリティやテレビ番組の司会で人気です。最近ジョギングを始めたそうで、野口さんに「どの位走るんですか」と質問。「今は少なくなって月間900km位です」と。「えっー、1日30kmですか」とビックリしていました。私は野口さんが北京五輪の前に月間1350kmを走っていたことを伝えると、「毎日がフルマラソン?」と信じられない様子のカビラさん。
これまで野口さんとは陸上競技の話ばかりをしてきましたが、この日カビラさんがいらしたことで、話題は音楽へ。「野口さんは試合前どんな音楽を聴いているんですか」との問いに「R&B(リズム&ブルース)です」と。カビラさんが「好きなアーティストは?」と話を向けると、堰を切ったように次々とアーティスト名、好きなアルバム、曲などを話し始めました。カビラさんは次第に驚きの表情になり「野口みずきが語るR&Bで1時間番組が出来ちゃいますよ」と。私も野口さんの世界の広さに驚きました。
マラソンは体の中のリズムを引き出して走りますが、ストライドの大きい野口さんの走りを心身両面で支えているのが、魂の音楽であるのが納得です。皆で盛り上がった後「リオまで頑張ります!」と目を輝かせる野口さんでした。
(共同通信/2014年4月26日配信)
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