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おしゃべり散歩道2014

単身日本でがんばる

 古い町並みが残る川原町に初夏の日差しが優しく降り注いだ5月18日、第4回高橋尚子杯ぎふ清流ハーフマラソンが開催されました。私はテレビの解説者として参加。前夜祭に集った選手たちの豪華な顔ぶれにビックリ。招待選手にはハーフマラソン世界記録保持者のゼルセナイ・タデセさん(エリトリア)や世界選手権女子マラソン2連覇中のエドナ・キプラガト(ケニア)さんという最強ランナーが顔を揃えました。ゲストにもキャサリン・ヌデレバさん(ケニア)や野口みずきさんのメダリストが。壇上で挨拶した私は「スター揃いで、陸上界の紅白歌合戦のようですね」と素直な感想を述べると、古田肇知事らから拍手が起きました。これだけの選手を呼べるのは高橋尚子さんの故郷に対する愛情と情熱の賜物でしょう。
 レースは22℃を超える暑さの中、序盤からアフリカ勢中心のトップ集団はゴールが1時間を切るようなハイペース。中盤はビダン・カロキさん(DeNA)とタデセさんの一騎打ちになり、スピードの上げ下げや抜きつ抜かれつの駆け引きが、まるでトラック種目を見るようで興奮しました。そして15キロ手前にカロキさんが抜け出し1時間0分2秒の大会新記録で優勝したのです。「東京五輪はマラソンでメダルを獲るよ」とチーム総監督の瀬古利彦さんは満面の笑み。カロキさんは15歳で来日し、世羅高校からエスビー食品へ。「カレーラーメンが大好きです。エスビーのカレーは美味しい」とお世話になった会社への配慮も忘れません。廃部後はチームと行動を共にして移籍。23歳の今は故郷のケニアに奥さんと3月に生まれたばかりの娘ルースちゃんを残して単身日本で頑張っています。

(共同通信/2014年5月19日配信)

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