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おしゃべり散歩道2014

19歳がうれしい新記録

 日本の女子マラソンそのものだった横浜国際女子マラソン(前身は東京国際)が36回の歴史に幕を閉じました。11月16日、大会を締めくくるような猛烈なスパートで優勝したのは第一生命の田中智美さん。真っ赤なユニフォームがそこから始まる新たな道に灯りを点しているようでした。
 私は移動中継車から解説。ラスト100mまで続いた田中さんとフィレス・オンゴリさん(ケニア)のデッドヒートに息を飲み、呼吸が苦しくなったほどです。フィレスさんはラストのスピードに絶対的な自信を持っている人。その彼女に競り勝った理由を田中さんは「(最後の直線の)大きな声援を受けて、絶対に負けられないと思いました」と。「疾風に勁草を知る」を座右の銘とする田中さんの今後の活躍が楽しみです。
 そして驚嘆したのが3位に入った岩出玲亜さん(ノーツリ)の走り。19歳の初マラソンでしたが「10代でマラソンを走る人がいないので、やってみたいと思った」と宣言しての挑戦でした。目力の強い選手です。彼女は35q過ぎから遅れたものの、ゴール後に「楽しかったです」とニッコリ。ゴールタイムの2時間27分21秒は、31年間破られなかった日本女子ジュニア(20歳未満)マラソン新記録。その記録(2時間30分30秒)は私が持っていましたが、実は今夏に北海道士別市で合宿中の岩出さんと話をしたのです。その時、彼女は脚を痛めていて、6年後の東京五輪の風が吹く中、遠過ぎる目標に悩んでいました。そんな彼女に「今できることに一生懸命打ち込んでいれば、未来はついてくるよ」と話したのです。横浜で会った時「お蔭で元気になりました」と開口一番に話した岩出さん。私も嬉しい新記録でした。  

(共同通信/2014年11月17日配信)

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