リオ五輪へ明るい兆し
和歌山県海南市で開かれた全国高校総体の陸上競技を観戦に。連日の猛暑でしたが、今大会でジュニア日本新記録が2つ、大会記録が9つと選手たちの頑張りには頭が下がりました。補助員の皆さんも紀ノ川をイメージした青緑色のポロシャツ姿で汗びっしょりになりながら大奮闘。
母校成田高校のテントへ行くと、校長の大澤浩一さんの隣に私が選手の頃にライバルだった米田葉子(旧姓:樋口)さんの姿があり、びっくりしました。彼女は子育てが一段落し、応援に来ていたのです。大会期間中は洗濯をしたり連絡係をしたり、まるで選手たちの母親のよう。葉子さんが「明美によく似た選手が走るよ!」と。3000m決勝に出場する加世田梨花さんのことで、紹介して貰うと身長147cmの笑顔が可愛いらしい選手でした。
加世田さんをスタンドで選手たちの家族の皆さん数十人と一緒に応援。彼女はストライドが大きく、確かに選手の頃の私の走りに似ています。ところが、スタート直後に激しく転んでしまったのです。その瞬間、ビデオを撮っていた彼女のお父さんは立ち上がり、隣でお母さんも心配そうな顔に。でも加世田さんは直ぐに起きて猛スピードで集団に追い付きました。それからは大応援団となり、「梨花ちゃーん、大丈夫だよ」「加世田、まだいける!」など皆でありったけの声を出して力になろうとしました。その声に背中を押されるように彼女は先頭集団の中で頑張り続け、5位入賞。ご両親の目から涙がこぼれ、私も胸がいっぱいになり涙が。観客席にいると四方八方から選手の名前を呼ぶ声が聞こえます。選手一人一人の後ろには、大切な家族や友人がいることを忘れてはいけないと感じた夏でした。
(共同通信/2015年8月31日配信)
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