マラソン界新風の予感
オリンピックイヤー幕開け。赤城山からの上州空っ風をものともせずにニューイヤー駅伝を制し、今年最初の日本一に輝いたのはトヨタ自動車チームでした。昨年に続く連覇がお見事。レース前、佐藤敏信監督は「全区間でミスをしないこと、逃げ切ることが大事」と話しまたが、その通りの結果になりました。
実は優勝候補は旭化成だったのです。11月28日の八王子ロングディスタンス1万mで、旭化成入社1年目の村山紘太さんと4年目の鎧坂哲哉が14年ぶりに日本記録を出したばかりだったからです。しかし、レースでは1区の鎧坂さんが16位と出遅れ、2区の紘太さんが5つ順位を落とし21位に。その後徐々に順位を上げたものの、7位に終わりました。群馬県庁32階のスタジオで一緒に解説をした宗茂さんは「紘太も鎧坂も最後の追い込み練習が足りない」と大変もどかしそうでした。日本記録を出した後の休養や故障により、足にしっかり力が入っていないと話しました。レース中の動きを見ただけで、練習の内容が分かってしまうところが、さすが茂さんです。
弟の猛さんは日本陸上競技連盟の男子マラソン部長。リオ五輪への展望を伺うと「昨年は男子5000mと1万mの日本記録が久々に塗り替えられたけど、今年は2月の東京マラソン、3月のびわ湖毎日マラソンでも日本記録が出る可能性は高い」と自信ありげに話してくれました。ニューイヤー駅伝で活躍した入社1〜2年目の選手だけでなく、箱根駅伝を走った大学生も参戦してきます。リオデジャネイロ五輪に向け、残り2つの選考レースで日本マラソン界に新しい風が吹きそうだと言うのです。オリンピックイヤー、初春から芽吹きのパワー感じます。
(共同通信/2016年1月4日配信)
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