期待膨らむ小原さん
新神戸駅から電車で総合運動公園駅へ。車中から見えた藤棚が陽春を彩っていました。この日、ユニバー記念競技場で兵庫リレーカーニバルが開かれたのです。私は小原怜さん(天満屋)がどんな走りをするか、楽しみにしていました。小原さんはリオデジャネイロ五輪女子マラソンの最終選考会の名古屋ウィメンズマラソンで、田中智美さんとゴール直前まで激しい競り合いをし、1秒差で敗戦。わずか1秒で明暗が分かれてしまったのです。でも「負けは負け。私のオリンピックは終わったわけではない。まだトラックの1万mがあるので頑張りたい」と。涙をこらえながら実に清々しいレース後の会見でした。
女子1万mが始まる1時間前、サブトラックで武冨豊総監督を発見。「小原さん、楽しみですね」と話しかけると、「いやぁー疲れが出ていて、今日はよくないですよ」と。少しガッカリしました。しかしレースが始まると、序盤は一番後ろにいた小原さんが4600mでトップに立ち、暫く引っ張りました。
最後はトップ集団のスパートに付けずに離されましたが、5位でゴール。「まだまだ理想とは遠い走りです」と小原さんは言いながらも「10日前にすごく疲労がでて、不安で仕方なかった」と。少し安心した表情にも見えました。名古屋が終わり、普通は1ヶ月半位ゆっくりするのに、彼女は3日間休んだだけ。すぐにトラックに向けて練習再開をしたのです。疲労が出るのは当然で、でも前哨戦といえるこの大会でまずまずの内容だったと思います。これから少し休養を取り、米国・アルバカーキの合宿に入るとのこと。6月24日の日本選手権では会心のレースが出来そうな、期待が膨らみます。
(共同通信/2016年4月25日配信)
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