スター性あるパラ選手
快晴の空を泳ぐ鯉のぼりも祝福しているように見えた5月1日、日本パラ陸上選手権で山本篤さんが走り幅跳びで世界記録を達成。鳥取市のコカ・コーラウエストスポーツパークは約2000人の観客が大歓声に包まれました。義足の左足で踏み切った後、右に体を傾ける独特のフォーム。私は間近で見ていましたが、「カッコイイ」の一言でした。飛ぶ姿にも雰囲気にもスター性があります。世界を渡り歩く人の持つオーラなのでしょう。山本さんは2月にご結婚され、スタンドには奥様のご家族が徳島から応援に来られていました。それも大きな力になったと思います。
山本さんも、この日、女子走り幅跳びでアジア新記録で優勝した中西麻耶さんも「手拍子と大歓声が気持ち良かった」と話しました。観客は扇子状の応援グッズを鳴らして応援。入口でそれを配っていたのは花岡伸和さん(ロンドンパラリンピック車椅子マラソン5位)で、「これなら片手でも楽に大きな音が出るでしょ」とにっこり。素晴らしいアイデアだと思いました。
また、スタンドでは黄色い帽子を被った市内の神戸(かんど)小学校の子ども達が菜の花畑のように観客席を明るくしていました。八頭町と書かれた旗に先導されたお爺ちゃんお婆ちゃんの集団も。次から次へと大型バスで競技場に来て観客席を埋めていきます。県障がい者スポーツ協会会長の福留史朗さんは「鳥取初の開催なので、県を挙げて応援しようと、小学校や周りの自治体にも声をかけました」と。表彰式で選手にメダルをかけていたのは地元の小学生です。最初は緊張の面持ちでしたが、次第に自分から声をかけるように。微笑ましい風景がいっぱいの、風薫る日となりました。
(共同通信/2016年5月2日配信)
|