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おしゃべり散歩道2016

解説者3人の思い出

 リオデジャネイロ五輪開幕まで1か月を切った7月上旬、リオ五輪の中継に携わる解説者3人でトーク番組に出演しました。競泳の高橋繁浩さん(中京大学スポーツ科学部学部長)とバレーボールの大林素子さん(スポーツキャスター)と私。見所などの真面目な話もありましたが、盛り上がったのは苦労話や裏話。
 日本の五輪中継は世界的に珍しいのです。米国ではNBC、英国ではBBC、ニュージーランドではSKYと、ほとんどの国で1つのテレビ局が独占で放送。日本のようにどのチャンネルでも五輪を中継しているという国はなく、だから日本は五輪で盛り上がれるのでしょう。
 中継の苦労話で、大林さんが「国内の中継はアナウンサーや解説者が注目するポイントにカメラマンが映像を合わせてくれる。五輪では国際映像に合わせるのが難しい」と。確かに、マラソンでも国際映像はバイクが2台だけといった具合で、前後の差が分からなかったり、いつ10キロ地点を通り過ぎたか分からなかったり。時には誰のか分からない脚のアップが長々と映っていることも。「映像の技術は日本が最高ですね」と高橋さんも同感のようでした。
 そして80年代に活躍した私たちが楽屋で盛り上がったのは、スポーツ科学の進歩について。「今は水中カメラの映像が鮮明に残るから、そのフォームをみせながら選手に指導ができる」と高橋さん。昔はそういう技術がなかったので精神論で推し進めることが多かったのです。陸上競技でも体の部位ごとに筋肉の強さを測り、不足した部分を鍛えることで、選手寿命を延ばす選手もいます。「私たちの時代はローテクだったよね」と、皆で大笑い。向日葵が咲いたような時間でした。

(共同通信/2016年7月11日配信)

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