悔しい経験 次の糧に
紫式部ゆかりの石山寺や松尾芭蕉も歩いた夕照の道など、情緒豊かなコースを走る第72回びわ湖毎日マラソンが3月5日開催されました。3年後の東京五輪に向けて、青山学院大学の一色恭志さんや初マラソンとなる村澤明伸さん(日清食品グループ)等々若手が沢山挑戦しましたが、上位にきたのは経験豊富な選手達でした。日本人トップの4位は佐々木悟さん(31歳・旭化成、リオ五輪マラソン代表)、次は松村康平さん(30歳・MHPS、インチョンアジア大会マラソン銀メダリスト)さん、石川末廣さん(37歳・ホンダ、リオ五輪マラソン代表)の順番です。レース後、旭化成総監督の宗猛さんにお話を伺うと、南向きに走る序盤は陽射しが強いうえに弱い追い風。それで選手達は無風状態の中、汗を多くかいたそうです。そして中盤、北向きに進路が変わると、汗で濡れた体が冷たい向かい風にさらされ、一気に体が冷えてしまいました。「うちの佐々木さんが途中で腹痛起こしたのも、このせいだよ」と宗さん。
期待された一色さんは30km過ぎに途中棄権をしましたが、やはり体が冷えたことが原因だったようです。本当にマラソンはコースや気象条件によって全部違うものなので、タイムだけでは評価できないと感じました。そして勝つためには経験という場数が大事です。「2回目のマラソンで課題をみつけたい」とレース前に話していた一色さんは、悔しい結果でしたが、きっとこの経験が次のマラソンの糧になるでしょう。
今回は駒澤大、東海大の選手も挑戦。3年後に向けて、若い選手たちが「皆でマラソン走ろう」という風が吹いていることが素晴らしいと思います。経験は後に大輪の花を咲かせます。
(共同通信/2017年3月6日配信)
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