大会盛り上げた野尻さん
ソメイヨシノの桜吹雪と八重桜の蕾が共演した4月16日、石川県加賀市で開催された加賀温泉郷マラソンにお招きを受けました。片山津、山代、山中の3つの温泉街を巡るコースが魅力の大会に全国から約6000人のランナーが集まり、沿道には和服姿の粋な女性の応援も。旅館の女将さんや女性スタッフで結成された「レディカガ」が大活躍です。温泉を楽しみに家族連れで参加する人も多く、やはりマラソンと温泉のセットはスポーツツーリズムの代表格だと感じました。
大会を一層盛り上げたゲストランナーは、お隣の富山県出身の野尻あずささんです。2011年のテグ世界陸上選手権女子マラソン日本代表。2014年は北海道マラソンでも優勝しています。
野尻さんは昨年の名古屋ウィメンズマラソンの後、脚の故障を治すため1年間完全休養をしました。お陰で痛みもとれ、今は脚づくりのために練習で長い距離を走り出したということ。この日は「ゆっくり42km走ってきます」と沿道に手を振り、市民ランナーを励ましながら3時間20分ほどで完走。そしてその後、何度も何度もランナー達を伴走しながらゴールまで運ぶので、50km位を走ったのではないでしょうか。野尻さんとゴールする人は皆、笑顔でした。
大会前夜、一緒に温泉に。「背中を流します」と野尻さんに言われ、私は照れながらもお言葉に甘えました。優しい人です。露天風呂に浸かりながら、彼女が毎年12月に南相馬市で開催されるマラソン大会に一般選手として参加していることや、富山でジュニアや市民ランナーの指導も行っていることなどを伺いました。ステキな生き方をしている野尻さんに、私の心もほかほかになりました。
(共同通信/2017年4月17日配信)
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