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おしゃべり散歩道2017

走りながら強化ヒント

 ロンドン世界陸上で宿泊したホテルは中心街から電車で20分ほど東へ行った場所。近くにはロイヤルドッグという運河や、リスやガチョウに会える緑豊かな公園もありました。朝10時から高橋尚子さんと2日間にわたりジョギングを。それは世界陸上の度に行われる恒例の会で、解説者やテレビ局の制作スタッフが参加して高橋さんとの会話を楽しみながら交流を深めるのです。
 この日の話題は女子マラソン。運河沿いの石畳の道を走りながら「2時間21分台の記録を持つ安藤友香さんが2時間30分でのゴールは予想しなかったね」と私が言うと「ありえませんね。初の世界大会で仕方ないかもしれません」と高橋さん。「でもキルワさんを中心に考えていたので、自分でレースを組み立てられなかったのかも」とも。安藤さんと清田真央さんは、今春名古屋ウイメンズで競い合い優勝を奪われたキルワさんに付いていくことをテーマとしていたのです。
 小出義雄さん指導のもと、高橋さんは98年のバンコクアジア大会でマラソンを2時間21分台で優勝。2時間25分が速いと言われていた時代の風穴を開け、2年後のシドニー五輪では2時間23分台で金メダルに輝きました。「私は振り返ってみて何が良かったかと言うと、朝練習で駆け引きを学んだことです」と話します。鈴木博美さんや五十嵐美紀さん、吉田直美さん、鈴木智香子さんらと一緒の朝練習で長閑な農道を走り、残り数qになると皆スパートに備えたそうです。「博美さんは得意の上りで、智香子さんは下りで、皆負けるものかと毎日が競争でした」と。高橋さんの話は面白く、今後の強化のヒントがいっぱい。走りながら時間を忘れてしまいました。

(共同通信/2017年8月14日配信)

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