測定、分析で成績向上
8月上旬に開催されたロンドン世界陸上選手権。日本はリレーと競歩で計3つのメダルをとることが出来ました。競歩が行われた日、私はその競技会場となるバッキンガム宮殿とトラファルガー広場を結ぶ道「ザ・マル」に応援へ。
その沿道には杉田正明さん(日本体育大学教授)をはじめ日本陸上競技連盟の科学班の方々がいました。気温、湿度などの暑さ指数を3か所で測りながら、歩くフォームをビデオに収めていたのです。「合同合宿にも何度がお邪魔しましたよ」と話す杉田さん。ナショナルチームの合宿では、血液や尿検査などで筋肉などの疲労具合を測定し、選手と密に関わりながらスポーツ医科学の力を発揮してきました。
マラソン・トラックの長距離種目は駅伝があるため人数も多く、合宿は実業団単位。なかなかナショナルチームの合宿が行われにくいのです。その点、競歩は1チームあたりの人数が少なく、強化部長の今村文男さんを中心に合同合宿が行われ、選手と科学班の連携が取り易いのが特徴です。
「個人的に声がかかる時もありますよ。マラソンでは川内選手がそうでした」と杉田さん。川内優輝さんは今回9位に入り、マラソン日本代表中最上位。杉田さんに自分の体をチェックして欲しいと連絡があり、杉田さんは4月の沖縄合宿に同行したそうです。そこで5kmを10本走る練習で1本毎に汗を採取し、その成分を測定。その結果、鉄分が汗で出やすい体質を把握しました。川内さんはそれに対処した結果が、ロンドンでの好走につながったのでしょう。レース後に、心のこもったメールが川内さんから杉田さんに届きました。今後、益々選手とスポーツ医科学との連携が大事だと思います。
(共同通信/2017年8月21日配信)
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