それぞれの競技環境で
公務員ランナーの川内優輝さん(31歳)が来年4月からプロとして活動することを宣言。プロランナーとして活動する弟の鮮輝さんを間近で見ていて「うらやましい部分があった」と正直に話していました。優輝さんが仕事にいっている時間に、鮮輝さんは治療に行ったり、より多くの練習を行ったり、合宿を組んだり。そんな姿をみて、優輝さんは生活のすべてをマラソンにかけたいと決心したのでしょう。この1年間は勤務する学校の創立100周年事業をしっかり務め、引継ぎもきちんとして退職する姿勢は、彼のまじめな性格を表しています。
箱根を沸かせた神野大地さん(24歳)もプロランナーとしての道を選びました。今年4月末で所属するコミカミノルタを退職。東京五輪のマラソン代表を目指します。単身アメリカに渡った大迫傑さん(26歳)を含め、プロのマラソン選手が増えています。
日本ではほとんどの陸上長距離選手は会社に所属し、社員としての給料をもらって競技をしています。遠征や合宿などの費用も会社負担。それに対し、アフリカの選手たちはプロランナーがほとんどです。五輪のメダリストなどにはスポンサーがつきますが、無名の選手は大会での賞金が唯一の収入源。でも賞金の出るマラソン大会は多く、日本の市民ランナーに人気のホノルルマラソンでも優勝賞金は約400万円。ケニアでの生涯賃金に近い金額なのです。
今年の東京マラソンで日本記録をマークした設楽悠太さん(26歳)はホンダに所属する実業団選手。チームのために駅伝も走りながら、結果を残しました。プロ、実業団、公務員などカタチは違っても、選手が自分に合った競技環境を選べることが重要だと思います。
(共同通信/2018年4月27日配信)
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