ミュージカルで女役熱演
宝塚歌劇団雪組、男役のトッスターだった早霧せいなさんと、NHKの対談番組でご一緒しました。凛とした雰囲気の美しい方で、手足も長くて、横に並んだ私はとても同じ人間とは思えませんでした。それでいて面白い方なのです。
昨年、宝塚を退団。「トップになった瞬間に、引き際を考える寂しさはありましたね」と、早霧さんは話します。早霧さんの3年弱というトップスターとしての活動は長い方だったそうです。こうして103年目となる宝塚の歴史は受け継がれているのだと思いました。
そして引退後、初の主演ミュージカル「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」に挑戦しています。早霧さんが務めるテスは、世界中を飛び回る人気の女性ニュースキャスター。今まで男役だった早霧さんですが、「動きや気持ちの性転換が大変」と。宝塚時代の17年間は普段の生活から男性的な仕草を心掛けていたそうです。その全てを女性に変えなければいけないのだから、陸上選手が100mからマラソンに転向するようなものでしょうか。努力たるや大変なものだと思います。
5月20日、開演2日目の大阪での舞台を観に行きました。主人公は知的で男勝りで可愛らしく、早霧さんにピッタリ。そしてハイヒールやタイトスカートでのエレガントな仕草やお酒に酔っ払う無邪気さなど、女性らしい新たな早霧さんを見られて感動しました。終演後に楽屋に行くと、昼と夜の舞台を終えた早霧さんは頬がこけ、マラソンを走り終えた選手のよう。「癒」と書かれた暖簾を指さし、「明後日がお休みなのでマッサージしてもらいます」とにっこり。トレーナーが常駐して出演者の体をケアしているそうです。謙虚な努力家、早霧さんのこれからが楽しみです。
(共同通信/2018年5月21日配信)
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