暑さ対策に医科学活用
いつもより早い梅雨明けを喜ぶように咲く向日葵を眺めながら新宿へ。6月下旬、日本陸上競技連盟の評議員会が開催されました。2020年に向けて色々動き出しています。8月にはインドネシア・ジャカルタでアジア大会が。「そこからが’20年に向けての具体的なプロセス。種目別に目標、認識、情報を共有してオールジャパンで臨みたい」と横川浩会長が口火を切りました。評議員からは、ジャカルタも2年後の東京も暑い。暑い中で成功した元選手から話しを聞くことも大事だという声が。同時に陸連が行っているスポーツ医科学の具体例も報告されました。
強化指定選手に暑い中、30km走って貰う。どこでどの位の量の水を飲むと体温が下がるのか、また汗の成分をみて、個々に何を補給したらいいか選手に伝える等々。昨年のこの実験では、川内優輝さんの汗の成分には鉄分が多く含まれることが分かりました。川内さんはそれを踏まえた上で、食事で鉄分を多めに補給しながらロンドン世界選手権に備えたのです。「医療の現場でもデータサイエンスが言われている。データを分析し、個人にどうフィードバック出来るかが大事」と、住友電気工業会長の松本正義さん。彼は一橋大学時代にやり投げ選手だったこともあり、選手強化に熱心です。先日は米国でナイキが行っている「アカデミア」という長期にわたる強化の様子を見てきたばかり。
私が出場した’84年のロサンゼルス五輪の頃は暑さ対策も原始的なものでした。暑さに慣れるために「暑い中で練習すればいい」と。瀬古利彦さんはじめ、皆本番前に疲れ切ってしまったのです。今、様々な知識、経験を結集して2020年に向かっているのが嬉しいです。
(共同通信/2018年7月2日配信)
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