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おしゃべり散歩道2018

2020年 期待の星

 いくつもの花壇に彩られた札幌の大通公園。そこに、笑顔の花を咲かせて帰ってきたのは鈴木亜由子さんでした。8月26日に開催された北海道マラソンで、初マラソンながら見事優勝。ゴール後、「何とか走り切れました」と。ホッとした表情が、長いマラソンの旅の過酷さを物語るようでした。
 私はテレビ解説をしましたが、彼女の冷静なレース運びに感動。序盤はペースメーカーが刻む5km17分45秒の集団の後方で目立たないように淡々と走りました。12km付近で天満屋の谷本観月さんがペースメーカーの前に出て、一時は1分近くリード。でも亜由子さんは無理して追わず、25kmから追い上げを開始し、33km手前で谷本さんを抜いて先頭に。そしてそのままペースを持続して、優勝したのです。前半よりも後半が約1分速い、マラソンを知り尽くした人の走り方でした。
 標高2700mのアメリカボルダーのローディングパスでは1日に50km走り込む日も。脚づくりはしっかり出来ていたものの「前半の10kmでふくらはぎが張る感じがあった。マラソンはレース中にも何が起こるか分からない」と、次の課題も感じているよう。この賢明さも魅力です。
 父、伸幸さんと、母、由美子さんはお米屋さんの仕事を終えて、前日の夜ホテルに。ゴール後、「よかった」と2人とも涙を浮かべていました。由美子さんは亜由子さんの服を持参。夕方の表彰式パーティーに着ていくものがないからと数日前に連絡を貰ったそうです。「急いで豊橋のデパートに行って、1500円のブラウスを買いました」と由美子さん。このへんの素朴さも亜由子さんは譲り受けています。2020年へ、しっかりとした一歩を踏み出しました。

(共同通信/2018年8月27日配信)

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