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おしゃべり散歩道2018

スピード、駆け引きで魅了

 街路樹の紅葉が美しい11月18日、第38回大分国際車いすマラソンが開催されました。前日の開会式に行くと、招待選手のマルセル・フグさん(リオパラリンピック金メダリスト)や山本浩之さん(今年世界ランキング2位)の姿があり、その中に92歳の工藤金次郎さんもいらして驚きました。鼻に酸素吸入のチューブを装着しての参加。毎年5kmの関門で制限時間を超えてしまうそうですが「元気なうちは参加したい」と工藤さん。この裾野の広さがこの大会の魅力だと感じました。
 1981年、日本パラリンピックの父と言われる医師の中村裕さんが提唱し設立。車いす選手だけの大会は世界初です。中村さんは英国研修後の1965年に「太陽の家」を設立し、障がい者が仕事をして給料を貰い自立し、スポーツも出来る等の仕組みを作った人でもあります。
 この日、車いすレースを目の当たりにし、そのスピードと駆け引きに魅了されました。選手達は風をよみながら位置取りを考え、コーナーや上り坂下り坂で、スパートするタイミングをみています。凄く緻密で神経を使う競技。
 そして41km以上走ってきたのに、グラウンドに7人の選手が一団で飛び込んできました。手に汗握る緊張感の中、トラックの最終コーナーでトップに立ち優勝したのは、フグ選手。7回目の優勝です。注目していた山本選手(52歳)は日本人2位の4位に。「みた通り失敗です。仕掛け所を逃し、風もないからより仕掛けにくかった。集団が大きく後方で体を休められて楽だったけど、勝負はキツかった」と山本さん。腕の力だけでフルマラソンを1時間20分ほどで駆け抜けるレース。2020年の東京でも注目されること間違いなしです。

(共同通信/2018年11月19日配信)

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