パラリンピアンとの触れ合い
師走の最初の日曜日に私の故郷で開催された第11回いすみ健康マラソンに、山本篤さんがゲストで参加。リオデジャネイロパラリンピック走り幅跳びの銀メダリスト、世界記録を出したこともあります。開会式で山本さんが「僕の生まれ育った掛川と似ていて田舎ですね」と話すと、皆大笑い。奥様の幸子さんと生後8ヶ月の駿汰君も一緒です。その駿汰君、大勢の人に囲まれて始終ニコニコ顔。「こいつ、俺に似て外面がいいんですよ」と山本さん。また爆笑。彼の声や雰囲気には華があるので、あっという間に人垣ができました。
表彰式の合間にトークショーも。山本さんは、義足の説明や使いこなす上での苦労話し、走り方のお手本を。また高校二年の時にバイク事故で左の大腿部から下の脚を失った時のことも話してくれました。私が「苦しかったでしょ」と言うと「はい、1日だけ落ち込みました。でもスポーツで頑張ろうと切り替えましたよ」と。強い人です。
もともとバレーボール選手だった山本さん。事故後は陸上競技に専念。「事故に遭わなかったら今の自分はない。いい人生です」と言い切れるところが凄いと思いました。義足のパラリンピアンに初めて会った子ども達も多かったのですが、みな真剣な表情で彼の一言一言に耳を傾ける姿が印象的でした。そして「2020年は金メダルをとります!」と山本さんが話すと、大拍手。
その目標のためにプロの道を選び、今、母校の大阪体育大学で健常の若い選手達と練習しています。そして先日は若い義足ユーザーに競技用義足を体験してもらう「出張ギソクの図書館」を自ら企画し、大阪で開催したそうです。山本さんの生き方に皆が勇気をもらいました。
(共同通信/2018年12月3日配信)
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