新記録に厚底シューズ?
箱根駅伝1区で区間賞を獲得した創価大学の米満怜選手。歴代2位の好記録をマークした直後のインタビューで「シューズの効果もあると思うんですが…」と話しました。何て素直な選手なのでしょう。
昨秋から駅伝などで新記録が続出。でも解説者やアナウンサーは、カーボンの板が入った厚底のシューズのことは知っていてもなかなか言いません。道具よりも選手の努力を伝えたいという気持ちがあるからだと思います。
私がこのシューズのことを知ったのは、2年前。「膝から下の足の形が変わった」と女子選手に話しを聞いた時です。つま先着地の彼女がこのシューズを履いて練習して1ヶ月。「ケニアの選手みたいにシュッとした脚になりました」と喜んでいたのです。おーっ、ついにシューズが脚を作る時代になったのかと驚きました。彼女、「走っていると下り坂のように感じるんです」と。スイスイと前に進む力が増していく感覚を話してくれました。そして履かせて貰うと、私はかかと着地だからか、転びそうに。怖かったです。骨格や走り方によって、合う合わないがあるようです。
ローマ五輪ではエチオピアのアベベさんが裸足で走り、いだてんの金栗四三さんは足袋で。私が走った84年のロス五輪では少しでも軽いシューズをと薄底でした。自動車が技術革新によってどんどん性能を上げるように、シューズも目覚ましい進化を遂げています。
日本陸上競技連盟競技規則ではシューズについて「使用者に不公平となる助力や利益を与えるようなものであってはならない」と定めてありますがその基準は曖昧。ゴルフや野球のボールは反発性能が数値で定められています。シューズも、今後は客観的基準が求められる時代なのでしょう。
(共同通信/2020年1月10日配信)
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