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おしゃべり散歩道2020

円谷さんの故郷に集合

 震災から丸9年を迎えた3月11日、東京五輪マラソン代表選手達が福島県に集合しました。翌日は瀬古利彦リーダーのもと、須賀川市の円谷幸吉メモリアルホールへ。昨年の台風19号による浸水被害で休館中でしたが、特別に見学させてもらったそうです。そして、円谷さんの墓前へ。瀬古さんは「日本のマラソンのブームは円谷さんのメダルから。56年振りの母国開催、選手を応援してくださいと祈りました」と。奥さんの美恵さんが作った月桂冠を供えて選手達と一緒にお参りしました。その後、選手達は、円谷さんと一緒に1964年の東京五輪マラソンに出場した、君原健二さんと寺沢徹さんの講話を聞いたのです。
 翌日、郡山市内のホテルで行われた記者会見で鈴木亜由子さんは「君原さんや寺沢さんの話しを聞いて、日本代表としての自覚が強まりました」と話しました。服部勇馬さんは、円谷さんのお兄さんに「マイペースで本番を迎えてくださいと言われた言葉が印象に残っています」と。本番を前に、先人から学ぼうとする姿勢がステキです。
 そして本番までに、前田穂南さんは「元気に練習を継続して、ハーフを一回走ります」と。一山麻緒さんは「どんなペースの上げ下げでも落ち着いて対応出来るように練習したい」と目を輝かせました。「今は慎重に、(脚の軽い肉離れを治し)最後はメダルを目指したい」と鈴木さん。
 新型コロナウィルスの心配もされていますが、選手達は目標に向かってまっしぐらです。こうして日本代表として集うことで、より覚悟を固めた表情にみえました。
 郡山駅への帰路、ふと心地よい風が吹き道端のタンポポが揺れ、円谷さん?と思いました。

(共同通信/2020年3月16日配信)

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