選手の枯渇感が爆発
大会という目標がないなか、ひたすら練習に励んできた選手たち。7月4日、北海道士別市で行われたホクレンディスタンスは久々のレースとなりました。「開催するには勇気がいったと思います。本当にありがたいです」と天満屋陸上部監督の武冨豊さん。感染予防対策をしっかり行い無観客で大会を開いた士別の方々や関係者に、監督や選手も感謝していました。
そんな中、東京五輪女子マラソン代表の前田穂南さん(天満屋)は女子5000mに出場。およそ半年ぶりのレースにも関わらす、積極的なレース展開で2位に入り自己ベストを3秒近く更新。動きを見て私は、体幹が安定して、足のピッチも更に早くなったと感じました。「試合がなかったから、じっくり練習に集中できました」と武冨さん。そして「1万、ハーフでも自己ベストが出ればマラソンが面白いね」と。ワクワクします。
またこの日、田中希実さん(豊田自動織機TC)が1500mで歴代2位の好記録を達成し優勝。コーチでもあるお父さん健智(かつとし)さんは「自粛期間中、男子と一緒に練習出来たことが希実にとって非常に良かったです」と話します。田中さんは兵庫県小野市の生まれ。同志社大学に通いながら練習していますが、自粛期間中に地元の市営競技場に行くと、西脇工業や須磨学園の男子選手4〜5人が自主練習を。一緒にタイムトライアルをした日もあったそうです。「練習で3000mは今季最高が出たので自信になりました」と健智さん。
前田さんも田中さんも正に、ピンチはチャンスを体現しました。そして久々のレースに向けて枯渇感が爆発したようにもみえました。2人に続く選手がまだまだ出てきそうです。
(共同通信/2020年7月6日配信)
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