世界で戦えるスパート力
7月上旬、北海道内4都市で開催されたホクレンディスタンスでは、日本記録の誕生や自己ベストを更新する選手も多く、コロナ禍にも負けない選手達の底力に驚かされます。いてもたってもいられなくなり7月18日、最後の千歳大会を取材に行きました。
事前に日本陸連に健康チェックシートを提出。そこには一週間の検温結果も。そして千歳市の青葉陸上競技場に着くと、入り口で検温と手の消毒。選手や監督に近づかないように三角コーンで区切られて取材陣の動く場所は限られていました。走り終わった選手へのインタビューも離れてオンラインで。ここまでやるの?という感じでしたが、感染予防が徹底されていたのです。
この日、10日前の深川大会で女子3000mの日本記録を出した田中希美さん(同志社大学2年生)が、同種目に出場。圧倒的な強さで優勝しました。ケニアの選手達の後にピタッとついていた田中さん、ラスト2周で、コーチでもあるお父さんの健智(かつとし)さんが「よし!」と言った瞬間、ヨーイドンという感じにスピードを上げケニアの選手たちを置き去りにしました。その速さに、みていて体が震えました。ゴールタイムは8分51秒で、前回の日本記録には10秒およびませんが「ラスト2周のうち1周を61秒でいけたことが収穫です。もう1周は66秒かかりましたけどね」とお父さん。世界の舞台で十分戦えるスパート力です!
ゴール後、田中さんは「この後、期末試験があるので、1ヶ月間は勉強に集中します。一番好きな授業はアイルランド文学です」と。妖精や神話が好きで、ケルト民族に興味があるそう。競技者から少女の表情に戻った田中さん、あなたこそ陸上界の妖精です。
(共同通信/2020年7月20日配信)
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