コロナ禍の特別な夏
短い夏休みが始まり、子どもたちの声が響き始めた8月上旬、各都道府県では甲子園の代替大会が開催されました。殆どのは無観客での開催ですが、多くの試合がネットで中継されています。地域によってはテレビ中継も。コロナ禍で特別な夏になってしまいましたが、大会を何らかの形で映像に残してくれるのはありがたいと思います。
それを強く感じたのは、今、私がナレーションを務める番組の「スポーツ映像ここ見てランキング」です。実はこのコーナーは本来4月から、海外で活躍する兄弟姉妹のスポーツ選手を紹介するVTRになる予定でした。ところがコロナ禍で海外での撮影が出来なくなり、急遽過去のスポーツ映像を紹介することになったのです。
私はこれまで、スポーツにまぐれや奇跡はないと思ってきました。でもあるんですね、奇跡が起きるのです。例えば、小学生のミニバスケットボール大会で、残り9秒で逆転したと思ったら、残り2秒で再逆転。体育館にいた観客からは大歓声が起こりました。また卓球では、平野美宇さんが世界ランク1位の強豪相手に2ゲーム取られた後に3ゲームを取り返し大逆転勝利。1989年のプロ野球日本シリーズで近鉄が3連勝した後に、巨人が4連勝。最後まで諦めなかったからまさかと思われる結果につながったのです。
そんな映像を観ていると、体に元気がみなぎります。今、様々なスポーツが少しずつ動き出しています。無観客もあれば、観客を制限するところも。一人でも多くの人に観てもらうために、ネット中継など様々な工夫がされているのです。日々の努力を結集して競う姿は、コロナ禍だからこそ響きます。
(共同通信/2020年8月6日配信)
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