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おしゃべり散歩道2020

冒険心とユーモアと

 「師匠やっと会うことが出来ました!」と、三浦豪太さん。「師匠なんて、とんでもないですよ〜」と私。街路樹が色づき始めた10月半ば、共通の友人を通して豪太さんとお姉さんの恵美里さんとお食事をしました。豪太さんは、フリースタイルスキー競技モーグルの選手として2度(リレハンメルと長野)オリンピックに出場。そして今は「面白い解説者」として人気です。
 彼の解説はカジュアルで、お茶の間の皆さんと一緒に競技を楽しめる感じなのです。そして私のことを「師匠」と冗談混じりに言うのは、豪太さんも競技のこと以外に選手の小ネタを話すことが共通しているからです。例えば、「〇〇選手はコーヒーを飲んだことがないので、違いが分かるかな」とユーモアも交えて視聴者を楽しませてくれます。そのうえで彼の解説は、医学博士としての研究データをたまに織り交ぜるので説得力があります。
 ところでこの日、「子どもの頃はどんなお子さんでした?」と聞くと「ジャッキー・チェンになりたかったです」と。お父さんの雄一郎さんと一緒によく映画を観にいったそうです。それでジャッキー・チェンさんのファンに。冒険心とユーモアはその時から培われてきたのでしょう。
 そして2003年、雄一郎さんと共にエベレスト登頂に成功した時、キャンプの中ではどう過ごしていたのですか?と聞くと、「下ネタしりとりをしていました」と。どこまでも明るい豪太さん。雄一郎さんも、登頂中に鷲に会うと「ここがワシの墓になるかもしれない」等、冗談ばかり言っているそうです。危険と隣合わせの究極の中を生きている人達なので、人一倍笑いの大切さを実感しているのだと思いました。

(共同通信/2020年10月26日配信)

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