女王が集う駅伝
宮城県松島から仙台へ。街路樹のもみじ明かりに包まれる中、11月22日クイーンズ駅伝(全日本実業団女子駅伝)が開催されました。優勝した日本郵政グループの鈴木亜由子さん(東京五輪女子マラソン代表)は最長区間の5区を走り区間賞。「うちのチームはお互いを尊重し合って個を高めてきました」と嬉しそうでした。
確かに、1区区間賞で良い流れを作った広中璃梨佳さん(20歳)もそうですが、日本郵政チームには速くて強い選手が多い。練習では毎日が日本選手権のようで驚きます。それでいてチームの雰囲気が良いのです。
亜由子さんは責任感が強い人。来年の東京オリンピックに向けて、チームが日本一になったことは大きな弾みになるでしょう。同じ日本代表の一山麻緒さんも区間3位。前田穂南さんも5人抜きの快走。みんな順調です。
そしてこの日、クイーンズ駅伝20回目の出場となった福士加代子さんが、最後の駅伝となりました。ワコールの選手たちは福士さんに有終の美を飾って欲しい。「3位以内」をチームの目標にしていました。アンカーを走った福士さん、3人抜いて3位に。私も解説しながらヤッター!と思っていたら、ゴールの競技場に入りラスト50m、最後の最後で抜かれてしまいました。ゴール後「何で抜くんだよ〜」と笑顔の福士さん。最後も明るいキャラで周りを笑わせてくれました。オリンピック4大会に出場し、日本のトップを走り続けてきた福士さん。一山さんも「福士さんのようになりたい」と思ってワコールに入ってきたのです。強さと飾らない性格で誰からも愛されたクイーンが、駅伝の舞台を去りました。その背中を追った選手たちが、次のクイーンを目指します。
(共同通信/2020年11月30日配信)
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