力みなく、いつものまんま
年明け早々の仕事は、スポーツの月刊誌による間寛平さんとの対談でした。
「走るエンターテイナー」としておなじみの寛平さん。寛平さんの走る距離というのは半端ではありません。毎年ギリシャで行われる鉄人マラソン「スパルタスロン」(245.3km)に7度も挑み、3度完走しています(自己ベストは1997年の33時間46分48秒)。さて、昨年はどうだったのでしょうか。
「150kmでリタイアやった。ちょっと気負い過ぎたかな」と寛平さん。なんでも、本番の1カ月前から禁酒したそうです。「完走できた年は、いつものまんま飲んでいた。オリンピック選手もそうやろうけど、『いつものまんま』がいいんかな」
7月に53回目の誕生日を迎える寛平さんは、34歳から走り始めたそうです。
「夢の中で2回も瀬古(利彦)さんと競ったんや。最後はビューと瀬古さんがスパートして、おれがやられるんやけど」。これは初耳!
ちょうどそのころ、早大の瀬古さんが福岡国際マラソンを走り、タンザニアのイカンガー選手をゴール前100mでかわして優勝しました。そのシーンが寛平さんの脳裏に焼き付き、夢となったようです。
走り始めて変わったことは? と聞くと「おれは、もともといいかげんやったから。遅刻もよくしたし、夜も遅くまで飲んどった。それが更生されたっていうんかな」。その笑顔にホッとさせられます。体のどこにも「力み」の感じられない人だなあと、つくづく思いました。
“アヘアヘ”などのギャグで人を笑わせる「柔」の部分と、33時間も走り続ける「剛」の部分を持った寛平さん。いつか同じ大会で走りましょう。
(共同通信/2002年1月11日配信)
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