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おしゃべり散歩道2002

「自分らしさ」引き出す 笑顔が素敵な荻野監督

 1月13日の第20回全国都道府県対抗女子駅伝(京都)は京都の圧勝でした。チーム監督は高校駅伝でもトップクラスの立命館宇治高の荻野由信監督。かっぷくのいい体形にえびす様のような笑顔が印象的です。
 「きょうは(大会場に向かう)車の中から選手たちの笑い声が聞こえていた。こういうときには『自分らしさ』が出るから、勝利は予感していましたよ」
 スポーツの国際化が進む中、日本人は言葉や体形にコンプレックスをもっています。監督はそんな中で力を発揮するにはおおらかなキャラクターが必要だといいます。
 そういえば、1区の小崎まり選手(ノーリツ)やアンカーの福士加代子選手(ワコール、青森・五所川原工高出)は、ウオーミングアップ開始まで楽しそうに会話していました。国際舞台でもひょうひょうとしているので、自分のペースを乱しそうにありません。
 ところで、監督は教え子の千葉真子選手(立命館宇治高出・現在は佐倉AC)の話になると涙ぐみます。千葉さんは卒業後、旭化成に入り、20歳のとき、アトランタ五輪女子一万mで入賞しました。その後、足のけがに泣き、旭化成を退社。「ぼくは、オリンピックのころの千葉よりも今の千葉が好きですよ」と。
 昨年、千葉さんは京都のアンカーを務めました。一人でこれからの道を模索していたころで、かなりポッチャリしていたのです。「あんな状態で走らすのはかわいそうだった。でも、二人で『プライドを捨てようよ』と話しました」。そこに至るまでの道のりは長かったことでしょう。
 あのとき、新たなスタートを切った千葉さんは、北海道マラソンで優勝。そして、今でも立命館宇治高の後輩たちにちょくちょく新しいウエアやTシャツを、そして、大会の前には激励の手紙を送ってくるとか。
 選手の幸せを心から見守る荻野監督の話にはいつも温かい気持ちにさせられます。

(共同通信/2002年1月18日配信)

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