容易じゃないパリのコース
世界で最も華やかな通りと言われるパリのシャンゼリゼ通り。8月下旬の世界陸上では、この道を世界のトップマラソンランナーたちが駆け抜けます。シャンゼリゼ通りはコースの15キロ地点にあたるのです。
今、わたしはコースの下見に来ています。「昔と比べて、馬車が車に変わっただけだよ」と、地元のカメラマンが誇らしげなのもわかります。宮殿やお城のみならず、白い石のアパートメントも100年前の表情をそのまま残しています。
ただ、コースの要所を試走して驚いたのは、路面の固さでした。凱旋(がいせん)門に続くシャンゼリゼ通りは、評判通りの美しさですが、石畳の何と固いことでしょう。ふくらはぎにズッシリきます。また、コンコルド広場(14キロ地点)は、ルイ16世と王妃マリー・アントワネットが処刑された場所としても有名ですが、そこの石畳は石と石のすき間が広く、つまずきやすいのです。
石畳はコースの5キロ分を占め、中盤からは坂道が多いことなど、決して容易なコースではありません。足の、特に太ももの筋力が強くないと”25キロぐらいで足にくる”と感じました。
さて、ちょうどスイスで合宿中の野口みずきさん(グローバリー)が、試走で来ていました。6月は計1200キロを走ったそうで、体が一段と引き締まり、目が輝いています。彼女はこの路面について「確かにアスファルトより固いけど、昨年、走ったベルギー(世界ハーフマラソン)の石畳は、もっと目が粗かったですよ」と言います。
1999年にも世界ハーフでイタリアの石畳を走っている彼女は、「石の大きさやくぼみを把握するぐらい、足で石の性質をつかんじゃうといいですよね」とニッコリ。筋力が強く、石畳を知っているみずきさんが楽しみです。
(共同通信/2003年7月23日配信)
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