体力向上へ聖籠で試み
1月半ば、新潟へ。上越新幹線で長いトンネルを抜けると、一面の雪景色。まさに川端康成さんの小説の世界でした。しかし、次第に雪は少なくなり、新潟市内ではビルの陰にも雪は残っていませんでした。
この日、講演で訪れたのは、新潟市の東隣に位置する聖籠町。ここは文部科学省の委嘱事業である「子どもの体力向上実践プログラム」を行っている町です。平成16年度にはこの町の小学校(蓮野小、山倉小、亀代小)の児童たちは、新体力テストの結果が立ち幅とび以外の7種目で全国平均を下回っていました。しかし3年目の18年度は、すべてにおいてそれを大きく上回ったのです。
どのようにして成果が出たのか?私は興味津々に講演前の実践発表を聞きました。教育委員会の三間さんのお話しによると、体力向上のために、運動だけではなく、生活習慣(睡眠、朝ご飯、テレビなど)の改善も目標にしたとのこと。また、よさこいソーランや縄跳び、エアロビクスダンス、チアダンスを行うなど、“楽しく体を動かす”ことを大切にしたそうです。
そして、いよいよ子どもたちの発表が始まりました。広い舞台、始めに3校の希望者が合同でよさこいソーランを踊ります。早いテンポの音楽に合わせ、児童たちの全身の関節、筋肉がフル稼働。しなやかで躍動感ある動きに私は目をみはりました。続いて縄跳びです。長縄跳びの中で2人が息を合わせ二重跳びをしたり、大勢で3本の複雑な長縄跳びを次々に跳んだりと、これも見事。エアロビクスダンス、チアダンスは笑顔が弾けていました。
私が子どもの頃は体力を向上させるといえば、耐寒訓練とか、ただひたすら走ることばかりで、苦しみに向かっていくという感じでした。でも今は、聖籠町の取り組みのように、楽しみながら体を動かし、体力をつけていく。このような形は理想的だと感じ入りました。
(共同通信/2007年1月15日配信)
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