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おしゃべり散歩道2007

無欲で全力疾走Qちゃん

 春めく江ノ島に集った約1万人のランナー達は、南に相模湾、西に富士山を眺めながら湘南を満喫しました。「2007湘南国際マラソン」の種目はフルマラソンと10q。10qの部のゲストランナーは高橋尚子さん、千葉真子さん、間寛平さんと豪華です。(なぜか私も)
 「Qちゃん、どないした?その脚」。4人のゲストランナーがスタートラインに並ぶと、寛平さんが心配そうに彼女の脚を見つめて尋ねました。なぜなら高橋さんの両脚のふくらはぎにまだら模様のあざがあったからです。「練習やり過ぎると、筋線維が切れてしまうんです」と明るく話す高橋さん。でも痛みもなく、見た目ほど問題はないようです。ただ私は、常に練習で追い込み過ぎる彼女を知っているので、その脚が練習量を物語っているように見えました。
 この日、高橋さんは沿道からの大声援に応えながら、10qをジョギングするように走り、41分台でゴール。その後もゴールに向かうランナーを応援するため再度コースへ戻りました。その後は取材陣に囲まれてのインタビュー。私も記者の輪に加わりました。高橋さんは北京五輪選考レースの東京、大阪、名古屋、全てにチャレンジしたいと思っています。記者から“先日の日本陸連の理事会で、一つの選考レースで内定基準に届かず、再チャレンジする場合は評価が低くなると決まりましたが”と聞かれると、「へー、そうなんですか」と素っ頓狂な声。このあたりが天真爛漫な彼女らしいところ。
 実は前夜、高橋さんと一緒に食事をした時に、「Qちゃんは今までの蓄積があるのだから、今は練習量を増やさずに疲労を貯めない工夫が大事なんじゃない?」と話すと、「分かっているんですが・・・。最近は朝練習も全力になっちゃうんです。朝から午後の練習のことを考えずに走ります」。瞬間瞬間を全力で走る高橋さん。ゴールの北京五輪へ、益々無欲で向かっています。

(共同通信/2007年3月19日配信)

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