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おしゃべり散歩道2010

世界での活躍遠くない

 雪化粧した榛名や赤城の山々を眩しく照らす初日を見ながら、元旦は群馬県前橋市で迎えました。第54回全日本実業団駅伝の第3、第4中継所で選手達の様子をレポートするのが私の初仕事。襷を待つ選手達を目の当たりにし、眠っていた虎が爪を研ぎ、徐々に牙を剥いていく姿に、戦いに向かう男達の気迫を感じました。優勝は創部15年目で初の栄冠を手にした日清食品グループ。その原動力となったのが、3区を区間賞で走ったルーキーの佐藤悠基さんです。彼は東海大学時代にエースとして箱根で活躍。この日も体の軸がブレない美しい走りでトップに躍り出ました。ルーキーでは、1区を走った木原真佐人さん(カネボウ)も7区の小野裕幸さん(日清食品グループ)も区間賞。レース終了後、大学を卒業してすぐに実業団で活躍出来る理由について、解説の瀬古利彦さんに尋ねると「環境に順応するのが早いんだね。世界の舞台でもこれが大事なんだよ」と。そして翌日からは千葉の実家で箱根駅伝をテレビ観戦。ここでも6区で駒澤大学の千葉健太さんが1年生ながら区間賞。また5区の山登りでは、「ピンチにスマイル」という座右の銘を持つ、東洋大学の柏原竜二さん(2年生)が2年連続区間新記録の素晴らしい走り。高校を卒業したばかりの選手が大学駅伝で活躍する理由を電話で河野匡さん(日本陸連長距離ロード特別委員会副委員長)に尋ねると、「高校、大学のレベルが上がっている。ただ、駅伝の力で留まらず、もう一段階高いレベルで将来マラソンで成功するような方向性を指導者にお願いしたい」と話しました。高校の頃から多くのケニア人留学生としのぎを削ってきた世代が、世界の舞台で活躍する日もそう遠くないと感じます。

(共同通信/2010年1月4日配信)

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