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おしゃべり散歩道2002

アテネ目指し充実感

 移りゆく時代の景色をとらえながら、自分の歩幅でしっかりと2004年アテネ五輪を目指すランナーがいます。アトランタ、シドニー両五輪女子一万メートル代表だった沖電気の川上優子さん(26)です。
 昨年は足のけがなどに泣きました。でも今年は、1戦1戦のレースを確実に走り、日本のトップに踊り出ようとしています。そんな優子さんと、選抜女子駅伝北九州大会で再会。前にも増して毅然(きぜん)とした雰囲気を漂わせていたのが印象的でした。
 「今年いっぱいはスピードを磨きたい。夏をいかに走り込めるかで秋が見えてきます」と優子さん。
 現在、彼女は谷口裕美さんの指導を受けています。昨夏、谷口さんが助監督としてチームに入ったとき、彼女とアテネに向けて細かなスケジュールを組みました。
 そして今、その方向に向かいながら何をすべきか。スケジュール通り、集中力をもって臨んでいます。彼女の迷いのない表情に、経験豊富な谷口さんと一点を見つめる充実した競技生活がうかがえます。
 それにしても、4年に1度の五輪。この4年間ではいろいろなことが起こります。本番にピークを持っていくのはいかに難しいことか。
 彼女は「4年という時間は、時代が変わる4年でもあるし、自分を修正できる時間でもあるんですよ」と明るく笑いました。そして、その時間の大切さを知るほどに、五輪の2大会でメダルを獲得した有森裕子さんの偉大さが理解できるそうです。
 わたしはこの話を聞きながら、「4年間チャレンジすること」に意味を感じ、毎日をひたむきに生きている優子さんが、本当に美しいなと思いました。最初の五輪は20歳という若さで経験。トラックの小刻みな駆け引きの経験を、今度はマラソンで生かしてほしい。最も輝く女性として3度目の五輪の舞台に立っているのではないでしょうか。

(共同通信/2002年2月1日配信)

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