心身とも充実のQちゃん
「やっぱりわたし、昨年は厄年だったみたいです」。年明け早々、東京都内のホテルで会ったQちゃん(高橋尚子さん)は、笑顔でこう話しました。新年を迎え、心がパワフルに動きだしたようです。
この日、彼女の装いは黒のパンタロンに黒いカーディガン。会う度に「女っぷり」を上げるので、「さては恋人でもできたかな?」とわたしがからかうと、「ぜーんぜん。でも今年の『マイブーム』は裁縫と料理。いつでも嫁にいけますよ」とおちゃめに話すのでした。
Qちゃんは大変な凝り性です。毎年「マイブーム」があり、昨年は編み物。小出監督にもマフラーを編んであげました。その前の年がビーズ。その前が毎日1枚絵を描くこと…。書道三段など手先が器用なので何でもこなしてしまうのです。
さて、わたしが彼女を一番尊敬する点は、女性特有の「しっと」が感じられないところです。昨年アテネ五輪で野口みずきさんが金メダルに輝いたとき、「よかった」と心から喜んでいました。それからまもなく渋井陽子さんに自らの女子マラソン日本記録を破られたときも「渋井さん復活してよかったですね」とライバルの活躍に拍手を送れる人なのです。そして素直にそれを自分を押す力に変えられる。こんな選手はいません。
昨年の7月、Qちゃんは秋のベルリンマラソンに向けての練習中に転倒し、肋骨(ろっこつ)を骨折。それが治った9月下旬に今度は足のくるぶしを骨折しました。そのくるぶしが完治し、心身ともに清らかな今、春に海外のマラソンを走りたくてしょうがない様子です。
「走るからには高橋らしく…」と慎重になる小出監督の心配をよそに「早く皆さんに元気な姿を見せたい」と春らんまんの表情で話してくれました。
(共同通信/2005年1月19日配信)
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