長い目で見守る高校監督
小倉城を背にスタートした今年の選抜女子駅伝北九州大会。毎年、わたしはこの大会を心から楽しみに解説者として参加しています。
ことしのレースは資生堂が1区の藤永さんから独走。アンカーの弘山さんの美しい走りに沿道の人たちは熱い視線を送っていました。高校の部は須磨学園(兵庫)が、昨年の全国高校駅伝優勝の諌早(長崎)を破って優勝。チームを勝利に導いたキーパーソン、5区の宮下さん(2年生)は全国高校駅伝のメンバーからもれた選手でした。
さて、大会前夜の懇親会。須磨学園高の長谷川監督がワコールの永山監督やパナソニックモバイルの星監督と談笑し、にぎやかでした。「うちには面白いデータがあるんだよ」と星監督。それは実業団に行って活躍する選手たちが多い高校のランク付けだそうです。「ナンバーワンは須磨学園!」と星監督。確かに大山美樹さん(三井住友海上)などたくさんいます。「すてきですね!」とわたしが長谷川監督に言うと「わたしは(高校を)出てから活躍してほしいと思っていますもん」と照れくさそうに話しました。
彼は「高校で練習を嫌いにさせないこと」をモットーとしているようです。そのために選手たちが嫌うトラックの1000メートルのインターバルは年に2、3回しか行いません。「それに長谷川さんは、この選手の性格はどの(実業団の)監督に合っているか、相性を見る目が鋭いよね」と永山監督。
日本の女子マラソンが世界でも王国を築いているのは、こんな長い目で選手たちの成功を見守る高校の監督がいること。そして、大学、実業団の監督たちとの連携がうまくとれているからだと感じました。
(共同通信/2005年1月26日配信)
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