"強い"障害者 充実した環境を
別府大分毎日マラソンが行われた2月6日、東京では「第1回障害者スポーツ指導者研修会」が開催されました。
現在、全国に障害者スポーツ指導者の資格(初級、中級、上級、スポーツコーチ)を持つ方は2万人以上いるそうです。制度ができた昭和41年度は約200人。指導者のすそ野が広がったことがアテネ・パラリンピック52個のメダル獲得につながったのでしょう。
別大マラソンに史上初めて全盲の高橋勇市さん(アテネ・パラリンピックのマラソン金メダリスト)が、2時間40分という厳しい参加資格をクリアして参加するこの日、わたしは研修会の前に30分、基調講演をしました。そこで五輪とパラリンピックの垣根を越えて自らに挑戦する素晴らしさをたたえました。伴走者の力を借りながらもそれができるマラソンの可能性をお話ししたのです。
会場から現場の声が聞こえてきました。「まだまだ障害者がスポーツをする施設的な環境は恵まれていない」「海外と比べると、まだ日本はパラリンピックへの関心が薄い」などなど。
「障害者は強くないと生きていけないのです」。アテネのパラリンピックで7個の金メダルに輝いた成田真由美さんの言葉です。この言葉を聞いたNHKの島村俊治アナウンサーは、奥さまを亡くされたばかりで深い悲しみの中にいました。この言葉に心が震え、背中を押されたそうです。
成田さんがスポーツの世界で思い切り自己表現できるのは、きっと指導者の方々に恵まれてきたのでしょう。このような研修会を通して、強い心を持った障害者が、より充実した環境でスポーツに親しめるよう、わたしもお手伝いをしていきたいと思いました。
(共同通信/2005年2月9日配信)
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