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おしゃべり散歩道2005

新しい道開く千葉さん

 京美人の千葉真子さん(豊田自動織機所属)は声の明るさに性格が表れる、ファンも多い選手です。今年2月、4年間指導を受けた小出義雄監督の下を離れ、独立しました。今は千葉・稲毛を拠点に自ら練習メニューを作り、5月半ばに出発する米国遠征に備えています。
 彼女は「今まで学ばせていただいたことに自分のアレンジを加えて、競技の集大成のつもりで走りたい」と話します。「頑張りなさい。ダメになったらいつでも帰ってきていいんだよ」と見送った小出監督も彼女の独立心を止めることはできなかったのでしょう。
 彼女の勇気と行動力は米国の選手のそれに共通しています。実力でスポンサー契約をし、自分のパフォーマンスを上げるために希望する条件を堂々と主張するところ。今回彼女は自ら豊田自動織機に契約継続を申し出ました。さらに自分専属の通訳兼トレーナー(数年前米国のレースで出会った)も契約に盛り込み、5月半ばには2人で渡米します。
 サンフランシスコ、オハイオ、ボルダー、ニューヨーク、ニューハンプシャーと毎週試合をこなすハードな日程です。この遠征も会社に強く要望し実現したことです。なかなか実業団チームの中にいたらこんな自由はききません。でも自由な分、結果の責任はすべて自分にある、という厳しさを“力”に変えようとしているのです。
 立命館宇治高校時代の恩師、荻野由信さんには「陸上の基本と精神」を学び、旭化成時代には宗茂、猛さん兄弟に「世界」を見せてもらった。そして小出義雄さんには「人生」を教えてもらった、と千葉さんは振り返ります。
 これから「毎日が自分の身体を使った実験なんです」と明るく話す千葉さんの旅が始まります。その旅は誰も通ったことのない道を生み出し、後輩たちが続く新しい道になるかもしれません。

(共同通信/2005年4月20日配信)

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