長寿の秘密 大豆パワー
心地よい5月の風を抜けて、愛・地球博へ。市民プロジェクト「食の未来を考える」の対話劇場にお招きを受けました。愛・地球博の会場は長久手、瀬戸に分かれており、可愛らしいゴンドラが二つの会場をつないでいました。私が参加したのは瀬戸会場のほう。トヨタのロボットショーや冷凍保存されたマンモスなどがある長久手に比べて、里山の中にパビリオンが三つだけの静かな会場です。催しはその中のひとつ市民パビリオンで。杉の木で作られていましたが、愛・地球博が終われば小学校の廊下板などの再利用されるそうです。
さて、すりばち状の客席は家族連れのお客様でいっぱいでした。私を含めたパネリストはローマ時代の市民会議をイメージした白い布を纏ったような格好でステージに。この会の主宰者である家森幸男さん(京都大学名誉教授)は「長寿の青い鳥はウチの中にいました」と会場の人の興味を惹きつけました。家森さんは長寿と食生活の調査のためオーストラリアやイギリス、ブラジルなど世界各地を回り、日本人が長寿なのはそれらの国と比べて大豆を多く摂っているからだ、とお話されたのです。大豆の中に多く含まれる大豆イソフラボンが高血圧や心筋梗塞、乳がん、骨粗しょう症予防に役立つことを広く紹介するために「大豆で世界に健康を」という活動を続けています。
会場では忙しくペンを走らせる人が多く、質疑応答の時間になると「大豆はどこを食べたら栄養価が高いのですか」と質問が。「丸ごと食べるのがいいんですよ、納豆などは理想的です」と家森さん。日本の伝統的な大豆食品には納豆はもちろん、豆腐や味噌、きな粉などがあります。食生活の欧米化が進んでいますが、昔ながらの日本の食事が健康を支えていたのです。
帰りの新幹線に乗る前、名古屋駅で売り場に並んだ数々のお弁当の中から、味噌のたっぷり塗られた味噌カツ弁当を買いました。
(共同通信/2005年5月18日配信)
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