陸連の新たな試みに拍手
日本陸上競技連盟に新しい動きがあります。6月17日、都内のホテルで行われた理事会に出席しました。たくさん配られた資料の中に“第89回日本陸上選手権大会におけるアンケート”と。それは6月上旬に開催された大会について自由闊達な意見を求めるものでした。アンケートの趣旨説明には「陸上界を取り巻く環境は厳しく、いかに陸上競技者人口及び陸上ファンを増やして、大会会場にきてもらうか」という課題に取り組もうとするものです。
実は私も大会会場にいましたが、あまりの観客の少なさに呆然としました。競技する選手にとって、やはり観客は多いほうがいい。国立競技場という最高の舞台での国内最高峰のレースなのに、なぜこんなに観客が少ないのか。あれこれ考えていました。「そういえば大会のことを事前に宣伝していたのは新聞のちょっとした広告とラジオだけ。この大会のことを知る人は少なかったのかもしれない」。毎日のように紹介されている世界陸上ヘルシンキ大会と比べていました。3日目(土曜日)には高橋尚子さんも競技場に来て表彰されたのに、そのことすら一般には知らされていなかったのです。
また、陸上競技に興味があり足を運んだ人も、まず入場料(当日2000円)やプログラム(総合・2000円、日ごと・1000円)の値段に「ちょっと高いのでは」と思うはず。学生以下は入場無料にしてあげてもいい。それから場内アナウンスをもう少し観客が楽しめるものにする必要があると思いました。お客さんに“観せる”という意識が足りないのです。
でも今まではこのように感じたこともその場限りで終わってしまうことが多かったのです。それがアンケートという形で無記名で記入し、たくさんの人の意見を聞いて活かしていこうとする 日本陸連の新しい試みに拍手。私もしっかり現場を取材して活発に発言していこうと思います。
(共同通信/2005年6月29日配信)
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