アテネ五輪以来の再戦
7月にしては暑い北海道。夏の太陽が二人の強者を迎えました。第48回札幌国際ハーフマラソン。アテネ五輪女子マラソンの金・銀メダリスト、野口みずき選手(グローバリー)とキャサリン・ヌデレバ選手(ケニア)の対決に札幌の街は沸いていました。
大会前日、ヌデレバさんは大会当日が野口さんの誕生日だと知り笑顔で「みずき、あしたはお誕生日ね」と話しかけます。野口さんについて聞くと尊敬の念を込めて答えました。「ヘルシンキにみずきが出ないのが残念。彼女は賢いし、勝負強いランナー」。そして野口さんは「パリ世界陸上で負けて銀、アテネで勝って金、今度は負ける番かな?」と冗談半分で。二人はライバルであると同時にお互いを尊敬し合う良き友人なのです。
そんな二人、考え方や取り組む姿勢に違いはあっても、共に五輪の金・銀メダルに甘んじることはありません。ヌデレバさんは一年一年、自分がどこまで到達できるのか挑戦しています。「4年というのは頭にない。昨年はアテネ、今年はヘルシンキ」と。それに対し「アテネは過去のことで、気持ちは北京に向け走り出しています」と野口さん。
レースはヌデレバさんが15キロ地点手前からスパート。野口さんに22秒の差をつけて優勝。二人の対決かと思いきや、岩本靖代さん(豊田自動織機)が競技場内で野口さんを抜き2位。6年前、この大会で彗星の如く現れた野口さんを彷彿させました。
ゴール後、「負けて悔しいけど、今の自分にはこのレースは必要だった」と野口さん。これをバネに秋のマラソンで日本記録を狙うでしょう。ヌデレバさんは「ヘルシンキでは世界チャンピオンになるわ」とはっきり答えます。
アテネ五輪の翌年、早くもそれぞれの目標に向かってチャレンジする。そんな二人の姿に札幌の空気はいつもにも増して透明感に包まれました。
(共同通信/2005年7月6日配信)
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