小出監督の“秘蔵っ子”世界へ
水から陸へ。モントリオールで行われていた世界水泳は日本選手の大活躍で幕を閉じ、今度は世界陸上ヘルシンキ大会が始まります。初日に行われる女子10000mには、日本から福士加代子さん(23歳)、大南博美さん(29歳)、宮井仁美さん(20歳)の3人が出場。福士さんは7月10日、ローマで行われた大会で女子5000mの日本記録を樹立。万全の体制で臨みます。大南さんは7月3日の札幌ハーフマラソンで快走し、仕上がりの良さを見せてくれました。
そしてもう一人、宮井さん。小出義雄監督の教え子に注目です。彼女は初めて走った10000m(4月、兵庫)で初レース日本歴代一位となる31分41秒をマークし、2度目の10000m(6月、日本選手権)で世界陸上の切符を手にする大物ぶりを発揮しています。
「のんびり屋だけど、たいへんな逸材だよ。北京五輪のマラソンの選考レースには挑戦させるけれども、まだ若いので狙うのは次のロンドンかな」と、小出さんはゆっくり育てたい様子。脚の長さが非常に目立つ柔らかな走りが特徴の選手です。
宮井さんは香川県の出身。瀬戸内の海のように穏やかな性格のようです。パンを焼くのが大好きで、よく選手や小出さんのために作ってくれます。そんな彼女の誕生日にチームメイトはパン焼き器をプレゼント。宮井さんは「選手生活が終わったら香川に帰ってパン屋さんを開きたい」と話します。
小出さんのもとには世界の舞台を目指す次世代の選手達がやってきます。どうしたら次から次へと世界的なランナーを育てることができるのですか、と伺うと「ロードの練習では絶対にスピードを上げさせないこと」という答えが返ってきました。とにかくゆっくりゆっくり長く走って“脚を作る”。そして心肺機能はトラックのインターバル練習で高めるそうです。
宮井さんは将来のマラソンへの第一歩を、ヘルシンキの10000mからスタートします。
(共同通信/2005年8月3日配信)
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