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おしゃべり散歩道2005

硬い石畳、風景は美しく

 世界陸上の中継の仕事でフィンランド・ヘルシンキに来ています。滞在するホテルはマラソン(男子は13日、女子は最終日)コースのほぼ5km地点。目の前に広がるのはフィンランド湾。港には大きな船が数隻停泊し、時より民族衣装を着た人たちが降りてきます。  私は毎朝、気温15度前後の風を受けながらマラソンコースを走っています。今回のレースは1周約10kmの周回コース。私のジョギングにはちょうどよい距離です。スタート地点は後ろにヘルシンキ大聖堂を構えたマーケット広場。路面はスタートして200m弱が石畳です。しばらくは左手に静かな海を見ながら走ります。丘の上には赤と白の車両がかわいいフィンランド鉄道。ヘスペリア(ラテン語で“楽園”を意味する)公園やシベリウス公園、国立オペラハウスの脇を通り、ゴールはオリンピックスタジアムです。
 白樺並木や童話の主人公たちがこっそり隠れているような森。海あり緑あり。風景は本当に素晴らしいのですが、ゴールまでに計6回石畳の道を走ります。路面は硬く、足は重くなるうえに、敷き詰められた石の大きさも様々で、隙間が1、2センチ空いているところも。集団の中などでは気をつけねばなりません。また、急な上り下りはないけれど、小さな上り下りの連続で選手泣かせなコースでもあります。
 今朝ジョギングしていると、ヘルシンキの風景に溶け込むような綺麗なフォームで走る選手が。赤いウェアを着た大島めぐみさんです。あいさつをするとペースを落としてくれて300mくらい一緒に走ってくれました。コースについて尋ねると、「このくらいのアップダウンは走りやすいです」。また前日、女子3000m障害で「早狩さんが自己ベストと18秒も上回る日本新記録で決勝進出を決めたことに感動しました」と。爽やかな風の中、早狩さんの走りに力をもらった大島さんの後ろ姿を見送りました。

(共同通信/2005年8月10日配信)

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