2時間18分台の記録期待
マロニエやプラタナスの並木が続くベルリン。大通り沿いにはコミカルなポーズを取ったクマの像が数十m間隔に並び、優しい表情で市民を見守っています。9月25日、野口みずきさんはここで日本記録(2時間19分41秒)に挑戦します。
7月14日から(9月13日まで)スイス・サンモリッツで合宿中。先日、廣瀬永和コーチと電話で話しました。彼はみずきさんにとって兄のような存在。アテネ五輪の前にも共にサンモリッツで長い合宿を行い、本当の兄弟のように仲が良いのです。「野口、また“つちのこ”を見たと言ってるんですよ」と廣瀬さんは楽しそうに話しました。実はみずきさんは銀メダルを取ったパリ世界陸上、金メダルに輝いたアテネ五輪の前にも“つちのこ”を見たと言って「だから私は勝てる」と話していたのです。「僕はリスじゃないかと思うんだけど“つちのこ”だと信じるところが野口らしいですよね」。
今回、アテネ五輪前と同じコースで行った40km走は、その時よりも2分いい記録。廣瀬さんは「故障もないので普通に走れば結果はついてくるでしょうね」と話します。
私は一番聞きたかった質問をしました。それはアテネの時のように“勝ちにいく”レースと、今回の“記録を狙う”レースの違いについて。練習の内容を尋ねると、「記録を狙うからといって、そう簡単にスピードがつくわけではない。大切なことは(目標とするゴールタイムに向けて)どれだけ同じリズムで走り続けられるかです」と。みずきさんは1kmを約3分18秒のリズムの継続を考えているようです。「勝ちにいくレースより記録に挑戦する今のほうがワクワクしています」とみずきさん。私の予想ではゴールタイムは2時間18分台で、良ければその前半のタイム。
ブランデンブルグ門(ゴール直前)に笑顔で飛び込んでくるみずきさんを見るのが楽しみです。
(共同通信/2005年9月12日配信)
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