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おしゃべり散歩道2005

千葉駅伝で勢ぞろい

 勤労感謝の日に行われた「2005国際千葉駅伝」は、まるで2008年北京五輪の前夜祭を思わせるようでした。イギリスチームで2区を走ったのは、女子マラソン世界記録保持者のポーラ・ラドクリフさん。ケニアチームの4区は、マラソンでラドクリフさんに次ぐ記録を持つキャサリン・ヌデレバさん。また、ゲスト解説には先日の東京国際女子マラソンで優勝した高橋尚子さん。さらには、野口みずきさん(アテネ五輪金メダリスト)がアジア新記録の受賞に訪れたのです。
 前日の記者会見場には、野口さんを中央にラドクリフさん、ヌデレバさんの3人が揃いました。私は華やいだ壇上を見てわくわくする気持ちを抑えるのがたいへんでした。3選手ともにタイプは違いますが個性的。一人一人にオーラがあります。ラドクリフさんは気品に溢れ、ヌデレバさんは凛とした中にフレンドリーさがあります。野口さんは走る姿はダイナミックなのに楚々とした感じ。私は3年後の北京五輪で一緒に走るであろう3選手が、北京五輪をどうみているかを尋ねました。「北京は大きな目標のひとつですが、それよりも2012年に母国イギリス開催されるロンドン五輪で走りたい」とラドクリフさん。ヌデレバさんは「北京というよりも目の前にある大会をひとつひとつこなしていくだけ。昨年はアテネ、今年はヘルシンキだった」。そして野口さんは「北京に向けて、まだまだ何本もマラソンを走ってスピードをつけなくては」と、やはり三人三様の答えでした。
 ほのぼのとしていたのは、3選手が互いにライバルであると同時に尊敬し合っていることです。見つめ合って微笑んだり、コメントに頷いたり。「マラソンはお互いに友情、尊敬を育む場」とラドクリフさんは話しました。記録において世界の1、2、3位の選手が“自分をより高められる”と、互いの存在に感謝している姿に心を打たれました。

(共同通信/2005年11月28日配信)

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