広がれ“延岡スタイル”
「欧州スタイルのレース」と評判には聞いていたけれど、実際に観てびっくり。5月27日、宮崎県延岡市で行われた“ゴールデンゲームズinのべおか”を取材に行きました。山懐に抱かれたブルートラックの西階陸上競技場。13時のスタート時から激しい雨に見舞われ、選手達は緑に囲まれた湖の中を走っているような風景でした。フィールドでは宗茂さんが雨合羽にビーチサンダル姿でマイクを通し、小学生や中学生に「さぁ、ここからここから」「まだいける、まだいける」と声を掛け続けます。ビシャビシャという足音に、宗さんの声、観客の声援。そして特徴的な“もう一つの音”。
8レーンあるトラックを6レーンまで選手が走り、7レーンにはトラック一周ぐるりと高さ50pほどのスポンサーの看板が並んでいます。観客は宗さんから渡された、サランラップの芯を赤や緑に塗ったバトンで「パンパンパン」と看板を叩きながらリズムを作ったのです。ビシャビシャビシャ、パンパンパンが一体となった競技場。それは私が選手時代にオスロのビスレットゲームで体験したような雰囲気でした。選手と観客が一緒に記録を作りに行くような感じ。あの時、一緒だった宗兄弟は「日本でもこんな大会が出来たらいいね」と言っていたのです。それが延岡で実現し、今年で17回目。13時の中学男子3000mから始まり21時30分男子5000mまで、観るほうをまったく退屈させません。
それは、競技場内の雰囲気に加え、運営の手際の良さもあります。多くの大会ではゴール後、しばらく経ってから表彰を受けますが、ゴールデンゲームズでは走り終わった上位選手達はゴールするとすぐに表彰。また、レースとレースの間が短いのでテンポがいいのです。旭化成の陸上競技部と延岡アスリートタウンサポーターズ(ボランティア)を中心とする運営。“延岡スタイル”が日本中に広がれば素敵です。
(共同通信/2006年5月29日配信)
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