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おしゃべり散歩道2010

人権を考える集い

 梅の花が薄く雪化粧した2月半ば、千葉県富里市で“みんなで人権を考えるつどい”が開催されました。第2部で1時間の講演を頼まれていた私。第1部では管楽の全国大会で優秀賞に輝いた富里中学校の吹奏楽部の演奏や、たくさんの応募の中から選ばれた優秀作文の発表があると聞き、早めに会場入り。約500人の観客は中高年の方が多いようでした。演奏が始まり、途中では氷雨、函館の女、おふくろさんといった演歌メドレーも。聴いて頂く年代に合わせたプログラムに温かさを感じました。
 そしてその後。富里市と成田市の中学生3人が作文を発表。成田市の町田杏樹さんは体験をもとに「人はつい他人よりも自分を優先してしまう。だからいじめをする加害者や傍観者になって、自分もいじめられないようする」と語り、自分は「傷つける手」ではなく「救う手」になりたいと話しました。同市の礒邊久美子さんは統合失調症になってしまった姉に対して、母が可哀そうだと同情し過ぎずに家族で遠慮せず言い合える関係を作ったという日常生活を紹介。富里市のマニカン・ワラポンさんはタイ人である自分がからかわれた経験から人権についての理解を求めました。
 私はそれぞれの体験に基づいた素直な作文の発表を聞きながら、金子みすゞさんの「みんな違ってみんないい」という言葉を思い浮かべていました。明治時代の童話作家のみすゞさんは、人間だけではなく魚や鳥、花など地球上のすべての命を優しい眼差しで見つめ、多くの詩に残しています。ましてや同じ人間同士。みんな違っているからこの世界は魅力的で楽しいんだと、相手を尊重し認め合い思いやることが出来れば、人権問題のほとんどが解決されると思います。

(共同通信/2010年2月15日配信)

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