最初から歩く人はお断り
バレンタインデーの日曜日、前日の雪から一変し陽光が降り注ぎました。福島県いわき市で第1回いわきサンシャインマラソンが開催され、県内外から6000名を超えるランナーがフラガールの街を駆け抜けたのです。東北地方は市民マラソンが比較的少なく、福島県では初の公認フルマラソン大会。福島県は円谷幸吉さんはじめ、藤田敦史さん、佐藤敦之さんといった世界的なマラソンランナーを輩出しています。また、いわき市は箱根駅伝で2年連続5区区間新記録の“新・山の神”こと柏原竜二さんの出身地でもあるのです。これまで大会がなかったことが不思議なくらい。
私は第一生命監督の山下佐知子さんと尾崎好美さん(ベルリン世界陸上銀メダリスト)と一緒にゲストとして8キロ地点まで参加。前半は3人肩を並べて楽しく走りましたが、途中から尾崎さんの闘争心に火が付き、それを山下さんが追い、私は置いてけぼりをくいました。でも、尾崎さんの美しいランニングフォームを間近で見られたことは幸せでした。
太平洋岸を走る風光明媚なコース。ゴールまで走った夫の話によると、いくつかの漁港を通った時、大漁旗と共に威勢のいい声援が沿道から飛び、思わずペースが上がったとのこと。制限時間は6時間。ただ最初の関門(8キロ地点)が65分という点に共感しました。これは歩く程度のペースでは間に合いません。つまり最初から歩く人はお断り、ということ。東京マラソンは前半の制限時間も緩やかなため、中には最初から歩いている参加者もいて違和感があります。
これからも各地でマラソン大会が次々に新設されます。しっかりと練習を積み、走れる脚を作ってから大会に臨む必要性を、名選手達の故郷で感じました。
(共同通信/2010年2月22日配信)
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